はずレールガン

もがくしょうもないオタクの脳内

失恋の話(ネット恋愛のよくある話)

どうやら僕は、失恋をしてしまったらしい。

「らしい」という書き方なのは、自然消滅っぽい終わり方となってしまったからだ。
自分が好いていた女性(以下、「sさん」と記述する)とのやり取りは、ついに途絶えてしまった。
自分からの発言に、向こうが応答しなかった。「既読無視」というヤツだ...。

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●動機
昨年、8月の末ごろ。無性に僕は、自身の持っている能力や資質を認められたい欲求があった。
承認欲求だ。そして、同時に女性とのコミュニケーションにも餓えていたのかもしれない。
それは、肉体的接触というより、相互の精神的充足を求める衝動であった。
それは今も強く抱いているものであるが、当時の僕のそれの満たし方は、
「齋藤さん」なるアプリを用いて、女性と接点をもつことだった。

●発端
このアプリには、生配信機能があった。
自身のアウトプット場を求めていた僕は、これを利用した。
配信を通じて、たとえばガンダムオタクとしてのトークを繰り広げたり、本の朗読をしたり、お絵かき配信をしたりしていた。
オタクとしての格、声質などを褒められたかったのだ。
事実、僕の配信に来場し、僕のことを認め、興味を強く抱いてくれる人がいた。
その中の一人...それがsさんであった。

●個人的なやりとり
sさんは自身を「(自分では認めたくないが)サブカルクソ女」と称していた。
僕からすれば、まあ確かにそれもそうなのだろうなという具合であった。受け入れてはいた。
マーベル作品が好きで、主に任天堂系ハードのゲームを好いている。ピアノができたり、絵も描けたりもしていた。同類かもしれないと、通ずるものがあると思った。
そして彼女も、このアプリで配信を利用している人間であった。
だから僕が彼女の配信に出向くときがあった。
そのときの彼女の反応を覚えている。饒舌になり、強く興奮し、僕を歓迎すると同時に強く自己発信をし始めたのだ。
彼女の配信の中にいる、他の男どもより、僕に特別な反応を示している。
その確信を持てたとき、僕としても内心昂ぶる気持ちがあった。

しかし僕は、このアプリを辞めようと思った。
理由は単純で、このアプリが「ゴミそのものである」と気づいていたからだ。
このアプリをいかに使って、アプリ内でいかに有名になろうが、得るものなどない気がしたからだ。基本的に、やはり性根の気持ち悪い人達しかいないからだ。それはもちろん、認めたくないが僕もそうなのだ。
相手が画面の向こうの存在なのをいいことに、自分を大きくみせる工夫をせずに他者に自分を認めさせようとする。肥大化した自意識を、受け入れる者のことなど顧みずにただ押しつける。
つまり、オナニーの押しつけだ。それは気持ちの悪い行いで、振り返ってみれば反吐がでそうなものだ。これは僕自身の行為も当てはまる。...と、アプリの評論などは脱線なので話を戻す。

とにかく、sさんには、個人メッセでアプリを辞めると告げた。ゴミである自分から脱却したかったからだ。
彼女は最後に一言、LINEのIDを僕に教えるのだった。

●個人的な付き合い
数日後、僕は彼女に、LINEのIDを検索して、メッセを送った。
「メッセがくるとは思ってなかった。嬉しい」彼女の第一声であった。
それもそのはず、僕は本当は、時期をおいて彼女にまた声をかけようと思っていたのだ。
笑える話だが、「男を磨いてまたくるよ」というような旨のメッセを送ったのだ。が、こういうことを言う人間はロクなことにならない。
カッコつけるより行動をしよう。そう思って声をかけ、LINEでのやり取りが始まった。

その日、初めて通話をした。夜通し話は続いた。本当に話は続き、半日もしゃべり続けていたかもしれない。何より、ポケモンの話で大きく趣味が通じたのだ。

それからは、毎日やり取りが続いた。

あるときに、僕は彼女に告げた。本心からの言葉で言ったのだ。「好きだ」と。
本来、直接対面して言いたいことだが、互いに遠方の地に住む身である。
体裁は構っていられず、言葉は早く告げた方がいいと思ったのだ。

向こうもそれを受け入れてくれた。いや、考えてみれば、最初は向こうから強く興味を抱いたのだ。
「いきなりこんなこといってゴメン。でも、言っておかなきゃと思ったんだ。」
「ちょっと待って。ほんといきなりだね。心の準備って言うか...」
「ごめん。僕が言いたくて言っただけなんだ、悪いことだったら謝る」
「ううん、嬉しいよ。...考えてみたらさ、私も○○君のこと好きだよ」
「本当に?」
「本当。好きだよ、○○君」
「良かった、嬉しい」
文字に起こすと、恋愛小説みたいなやり取りだ。恥ずかしいが。

それからは、少しのぎくしゃくもありもしたが、毎日声を掛け合う関係になった。
通話上での「夜のやりとり」なんかもしたりもした。

偽りなく、僕のことを好きだと分かって、そのときは満たされた。
だけど、いわゆる遠距離恋愛なのだ。それが引っかかってか、僕は明確に「彼氏だ」と自称することはなかったし、向こうも、僕のことを彼氏と称するとか、僕らがカップルである等とは言わなかった。それでもお互いに「好き」という言葉はかけあっていた。

●ほとぼりも冷める
互いに、余暇時間が合わなかった。
大きくはこれだろう。要するに、コミュニケーションをとろうにも、休みが合わなかったりした。
それがあってか、段々と疎遠になってしまっていた。

そして、二次的な要因を話すと、彼女はかなりのブラコン(弟にぞっこん)だった。
ともかく弟の話をする。どこかに出かけたという話をすれば、弟と出向いたという話をする。弟とふざけあったときの話をする。

それは、僕を嫉妬させるに十二分に足る要素だと、そして僕の介入しようがない障壁であると思えた。
同時にこうも感じた。
あなたはもう25歳だ。弟だって二十歳を迎えている。互いに自立すべきなのに、なんでそんなべったりなんだ。もっと僕を求めてくれたっていいだろう。
僕のほうがあなたのことを考えているし、向き合う気がある。いたわろうと努力もしている。なのに何かと弟、弟だ。
とうの弟とくれば、仕事を辞めただとかも聞く、僕より努力をしている人間だという感じはうけない。ポケモンだってやっているらしいが、僕の方がつよかったんだぞ。モンスト廃人だと、知るか。アプリゲーなんかよりコンシューマで強い人間のほうがカッコイイだろ。ふざけんなよ。僕の方が格が上なんだ、なのになんでだよ、身なりだって外に出るときは清潔なんだぞ、人から褒められたことだってあるんだぞ、食生活気を遣ってスタイルもいいんだぞ、なのにふざけるなよ...。なにより僕の方がsさんのこと想っているのに意味分かんねぇよ、弟ってだけで仲良くされるんだもんな。

このような内心は、直接は訴えなかった。やんわりとは、「楽しそうでいいね。嫉妬しちゃうな」とは伝えたが。

兎に角、疎遠になりつつはあったが、こう約束はしていた。
ポケモン剣盾出たら一緒に遊ぼうね」と。

実際、それでオンライン上で一緒に遊んだ。

交換をしたり、キャンプでカレーを作ったりはした。
しかし、キャンプで遊ぶのを、オンラインでするにはかなり骨の折れる作業だった(フレンドとやってみると分かるが、相手のテントがなかなか現れてくれないのだ)。
そういうゲーム的gdgdなんかも相まって、あまり互いに満足には遊べなかった。

そして僕は、買ったらポケモンバトルを教える、個体もあげるなんて事も話していた。
その約束を守ろうと、孵化あまりをかき集めていた。

だけど...そこに時間を割きすぎちゃったのかな。
「こいつら孵化したから、今度渡すよ!」
なんて声をかけても反応は薄かった。

ポケモンバトルに関して。僕はランクマッチで上位になれなきゃ、sさんに教える立場なんかにゃなれないと思っていた。ので、ランクマッチに潜る。
しかしゲームシステムの理解力の浅さとブランクも相まって、序盤は無様な有様でスタートをきった。そうして低ランカーで停滞していたとき、僕はちょっと萎えて彼女に弱音をはいてしまった。
「僕、sさんに教えるには弱すぎるんだ...」と。
この言葉を告げたとき、彼女からの返信は途絶えた。既読無視だ。
ほんとは、「私にバトル教えるっていったじゃん!がんばって!」の一言でもあるかと期待をした。しかし、返信すらなかったのだ。
彼女から、飽きられていたのか。あきれられていたのか。それが分かったとき、空しいというか、悲しい気持ちがわき上がった。

しかし僕は、ランクマッチに関してはそれで終わらなかった。
反省と改善を繰り返し、最高順位は72位まであげた。(微妙な順位だが、自己満足と。「
上位勢」を名乗るには許される順位であるという自負があった)
ランクマッチに関しては、sさんのことなど関係ないのだ。だから続けた。
今度こそ世界に通用するプレイヤーになりたい。今度こそ公式大会の実績をあげ、強者と認められたい。その想いしかない。そこに誰々がなどというものは一切ない。

それでも、既読無視の一件は応えた。
色々な想いがわき上がった。彼女への怒り、懺悔、疑問など。
だが、考えていても仕方がない。コミュニケーションをとらなければ。
向こうの考えを聞かなければ、何にもならないのだ。
だから、話そうと思った。実はその方法は、一つだけあった。


「齋藤さん」だ。

●最後の一声は、むなしい
sさんは、未だに齋藤さんで時折配信をしていると、かつての通話で僕に話していた。
だから、一縷の望みをかけ、僕は齋藤さんを再ダウンロードをした。

そして、彼女が配信をするタイミングを待つことにした。配信中に、部屋に入って声をかければ、確実に気づくと思ったからだ。

幸運にも、翌日の夕方。彼女の配信が始まった。
僕は自分のID名を変えていた。ちょっとの勇気のなさからだろうか。後ろめたさからか、変えてしまった。

そして配信中であった彼女の部屋に入る。
リスナーはほぼ、男性であろう。そのようなものたちと、本当にたわいもない___トイレの話だったか?で談笑をする様子だった。
ひどく気持ちが悪かった。
知らない男達と話をしている。それも、彼女の好きな趣味の話ですらない。こんなくだらない話をして。ああやはり、お前たちはゴミだ、頼むsさん、僕はこんなゴミじゃない、僕と話そう。僕は配信中、一声だけかけた。「あの」と。
それに彼女は気づいた。
そして、僕だとわかった。
「あっ知ってる人だ!どうしたの名前変えて。「あの」って何ですか~~」
泣きそうになった。妙な距離感を感じたのだから。かつての「僕だけ特別な関係」を匂わせるものは、もうないと思えた。
僕は、本当はこう言葉を続けたかった。「なんで既読無視するんだよ。ちゃんと話そう」と。しかし、コメント欄で、人間関係のゴタゴタを思わせる発言はしたくなかった。

だから、その後は個人メッセで彼女に送った。「ちょっと話せません?」と。
先は、配信で僕のことを認識したのだから、反応はあるだろうという望みがあったのだ。


それから、半日だろうか、時間が経っても、ついに彼女からの返事はなかった。


僕は最後と思い、このようにだけ、そして読まれているかも分からないが、メッセージを送った。
「言いたいことは色々あったけど、今までありがとう。さようなら。」

これが、先月の下旬のことである。

もっと掘り下げれば色々あって、こうなってしまったのは、僕自身にも問題があったという反省はある。

けどもうどうしようもない。そもそも接することができないのだ。
だから、もう終わったこととして割り切りたい。


最近、夢にこのことが出てくる。
「割り切った」とは頭で考えても、強く心に残ってしまっているんだな...。
だから、こうして記事にでもすれば、清算できるだろうという魂胆で、今こうして書いているというワケだ。

これは、世の中がどう定義しようが、僕にとっては失恋だ。


僕は、めんどくさい人間なんだよな。
「強くて、優しくて、頼れる男になりたい」と願えども、その性根はひどく歪んでいて、何かと考えてしまう。そんな人間だ。
そして自分のそのような人となりは、受け入れてもらえたかもしれないという感覚があった。だからなるべく、言葉を選ばず、ありのままを彼女には出していた。

異性と、そういう風に接することができたのは、おそらく彼女が初めてだったのだ。
だから、本心では入れ込んでしまっていた。向こうが、僕をどの程度思っていたのかは別として。

24歳にして、明確な、初の失恋だ。
笑えるぜ。笑えねぇ...


女性と向き合うため、向き合いたいという気持ちがあったが為に、僕は、富野作品における女性像を考えたり、岡田麿里作品を通じ、女史の本を読んだり、恋愛観の本を読んだりして、理解しようとしたりもした。

NHKでは、ねほりんぱほりんやジューダイを観て、現代人的感覚を理解しようとともした。

 

けど、もうなんか正直、わけがわからなくなった。

僕はポケモンで強くなりたい男ってだけだったはずだ。なんでなんだろうな。
結局今思うのは、男女なんてものがあるのは、癪だ、ということだ。

ポケモンの目標。1,2月シーズンは、30位以内を目指す。必ずだ。
そして、オフ若しくはオンラインの何らかの大会にて、ベスト3以上にはいる。
そうして少しずつ名を挙げる。
再びポケモンのニコ生をはじめてリスナーを獲得する。

今の僕は、ポケモントレーナー・ナオだ。

強くて優しく、あと絵がうまいナオさんって言われたいんだ。