オリジナル小説を供養する(筋書きや設定等を盛大に書きなぐる)
★ジャンル:SF、ヒューマンドラマ?純文学寄り?ちょっとサイコ入ってる。すねらせロリコン野郎がひたすらわるいことをするキモイお話
★ずっと非公開にしてるのが煩わしくて公開状態にしちゃった。。
以下、灰色の文字の部分は今後加筆修正の可能性アリ。
その場合は更新履歴としてこの記事の最後に記述することにします。
題:ぼくとアトミカ(仮)
<紹介文>
誰かを憎んでいた訳じゃない
認めてほしかったんだ
好かれたかったんだ
だけど、
誰も見てくれない気がした
否定されている気がした
そんな人たちがいるのが世界だなんて、認めたくなかった
だから、
僕が、認めなくなった
僕が生きているのは、僕だけの世界だ
◇
いつともどことも知れぬ地上の大地。
そこに存在する一つの土地。
その地は、ある二つの国の境界線に挟まれていた。
歴史を経て、この地は成長をした。
不安定な内情を、様々な実行を以てして安定と繁栄へとシフトさせた。
やがて成長は、この地に明確な二つの色を分けさせることとなる。
光と陰。富と貧困。先進国的、途上国的。
二者の関係は、様々な言葉で対比させることができよう。
しかし、時の移ろいや、成長というものは、何らかの痛みを伴って成していくだろうことは、万物の常ともいえる。
うねりに無頓着である者、その渦中にいながら、享受してなお生きていく者、うねりそのものを起こしたいと思う者。
人は、我々は、僕は、私は、煩いながら生きている。
目の前のあなただけは、僕の、私の世界なんだ。
<舞台設定>
★都市国家:トーニン市国
→人口300万人ほど 東京都くらいの面積
→先進国の戯画化(カリカチュア)がコンセプト
〇名称について
・由来:東京の中国語読みをもじって。
「東」→トン
「京」→jingの「in」の部分。
トン+イン→トーニン。アクセントはソラニンみたいな感じ。
・都市部の中国的名称に比して世界観的には外郭地は中東~スラム的+中央都市部の東京的舞台という具合でごった似にしている。作品世界の抽象性を高める(これが設定を突っ込まれた時のある程度の逃げ道にもなるだろう(^_^;))
〇特色
〇都市国家的色合いが強い。外観的にはきわめて民主的、本質的には一党独裁体制である。
「一党独裁」→政治中枢を司る党(名称未設定)の党員は強じんなメンタル気質を持つ者達___”クスリ(後述)”の投薬をもはや必要せず、あらゆる困難にもめげない、他者の意見を唾棄せず受容的、建設的かつ生産的な対話を好む気質___で構成されている。
この党の発信こそが大本営発表であるが、その内容如何を問わず、多くの市民はそれに従う。党員のカリスマ性・人間性といった魅力に大いに好意的であるからだ。
〇ごくごく少数の市民だけが感ずいていることだが、トーニン市の国の余命はそう長くない。放っておいても自壊していく未来にある。(それについて詳述した作劇上の禁書「一感情の支配に依る大いなるカオスについて」が存在する、予定)
なぜなら、市民感情がいかに良くとも、一党独裁、価値観一辺倒の体制などは、史上続いた試しなどないからである。
〇徹底した非暴力社会である。
〇一辺倒な価値観とは何か?「より良い団結を、より良い教育を、より良い豊かな感受性を、より良い肉体を、より良い智を」といったものである。すべてがすべてポジティヴにつながるように”強制”される社会であり、外面的に”個”が尊重されているようにみえるが、実質的には”個”を極端に圧殺する。つまり、多様性、尊重、共感、称賛の過度な押し付けによる個々人性の消失である。しかし、そういったパーソナルな問題はクスリによって強制的に排除されるし、それが積み重なって市民全体の精神性が同調されていく。こうしなければならない土壌は何か?トーニン市国が、陸のみの土地に、急進的に作られてしまった家族的国家だからだ。また、家族的なつながりを持たざるをえなかったし、形式的な繋がりであっても、真のものとしたかった。だからこそ、過去の反省から暴力に依らない成長は遂げられたものの、精神的な強姦を厭わない社会へと変貌してしまった。しかし、人間はどこまでいっても個人の感情をもつものである。そこで、本作に、トーニン市国という国の歪みを体現する人物を配した。→ユリエ、ユウキ。
<歴史>
〇もとはワイン平原とされる辺境の平野である。A国・B国の境界線上にあり、歴史上A国領・B国領の入れ替わりが激しく、紛争地帯となっていた。
〇約300年前、世界規模の戦争があった。なし崩し的にA・B両国は同盟国となり、ワイン平原は領有権については保留という形で、扱いについては戦争中は無視されていた。
戦争収束後は流刑地としてこの地は使われた。戦争中、A・B国は同盟国であったからよかったものの、戦後はふたたび領有権を巡る争いが頻発。
流刑地であり紛争地帯。ワイン平原の形相は、地獄そのものである。その色をもじって、ワイン平原は「ブラッディ・ワイン・シー(ほぼ文字通りの血の海)」と呼ばれた。
そんな最中、ワイン平原にて国を問わず独立の名目のもとに結束する動きがみられた。
この独立グループの行動によって平原の内情に新たな風が吹き込まれるが、
流刑・紛争に加え活動派の鎮圧という事態も加わり、結局更なる血をみることとなる。
史上類を見ないほどの地獄以上のカオスの形相を呈したこの事態に、A・B両国はタイミングを見合わせ暫定的に派遣軍を引き上げた。これ以上の狂気と痛みを広げてはならないという抑制が働いた結果であった。
一時の沈静化がみられたこの地に、ここぞとばかりに活動派の残党が建国を決意。
”トーニン市国”の歴史の発端は、ここからであった。
〇トーニンは多民族国家である。そのルーツは流刑地として所外各国から引き連れられた戦犯たち、また、AB両国からのワイン平原時代の住民である。
いち市国を名乗るためにはこういった他民族をも受け入れる精神的土壌が必要であり、トップ層は国民に過度な受容的価値観論を流布させた。しかしこれにも限度がある。
そこで、高い能力を有するとされた国民から優先的に市国中央部へと住まわせ、外郭部に向かうにつれて低級とされる国民を住まわせた。能力主義ではあるが、民族差別の一切は行っていない。中央部の高級国民には手厚い待遇を、外郭部の下級国民には冷遇というという処置を行った。露骨な能力主義はデモや暴動を招きそうなものではあるが、市国特有の閉鎖的立地を利用した情報統制とクスリによって巧みに掌握を行っている。
・”見えざる壁”の建設
〇”クスリ”
→トーニン建国の要ともいえるキーポイント。建国時の革命の際には、これを服用することで仲間の証&興奮剤&精神安定剤として、現代においては精神同調のトリガーとして用いられる。つまり、例えばわれわれの歴史で言う内紛だとか揉め事だとかを一切発生させない装置(SF的ガジェットとしての用い方)であり、実質的な病をも未然に防ぐ。これがなければ、トーニンという国のスピーディな発達と成長は成しえなかった。その為、独自の薬剤開発事業やノウハウがこの国の強みともなっている。基本的には飲み薬であり、感情抑制・調整のシチュエーションに応じて色分けもされている。ので、口頭的に”〇〇色の薬をつかったよ”というようなやり取りもある。先祖からこれらを常用するのが当然な為か、体質的に薬を受け入れやすい。
〇クスリでどうしようもない病は?
それはある。しかし、そういった病で死に至るだとかは、当事者と周囲者の全員で、潔く割り切る。”そうなる運命だったのだ、天啓なのだ”と。こう割り切れる精神性を、どのようにして築くのか?それは当然、クスリによってである。起きた事象に対する心のザワつきをなくす装置がクスリ、といってもよいかもしれない。不治の病の多くは、たいていが”天啓”とされて、潔く諦めるしかない風潮もある。こうした流れは建国以来の名残である。(かつては建国のためにアレコレ急いでやっていかなきゃいけない状況で一人の死に構っていられるか、という本音を正当化するための”天啓”であったが、現代では形を変えてより落としどころのあるロジックとして”天啓”は用いられる)
〇テロメアの短縮と、それに比する成長度合いの高さ
→トーニン市国人の寿命は、われわれの年齢でいう40歳くらいが平均寿命である。
そらヤク漬けの人間が長く生きられる感じしないもん。あとはトーニンという閉鎖的な環境で、そんな中で人々が子を作って生きていったら長生きできそうにないというイメージからそうしている。が、成長速度はわれわれの約二倍だし、当然脳の発達もその成長に相当するかそれ以上。6歳の子供、といえば、われわれでいう12~13歳ほどの身体年齢と賢さをもつ。しかし市国民での40歳ほどの大人は、われわれでいう同程度の年齢の人間とそう見た目は変わらない。にもかかわらずポックリと逝く。
トーニン市国とは、そういう国だ。皆若々しくて溌剌としていて、その”若々しさ”が抜け落ちそうになった時点で、文字通りの死を迎える。その過剰に強制的で一元的な競争的な循環が国体としての過労死を迎える。
★外郭地:ウイン
各地区の総計数万人ほど だだっ広い(曖昧)
〇名称について
語源はもとのワイン平原の音が変わってこうなった。
ウインというのは俗称的な名称。現地人や一部のトーニンの人々がこう呼んでいる。
対外的にはウインの地もまとめて”トーニン市国”としている。ふたを開けてみると、ウインという外郭地の方が大きく面積を占めているという有様だ。
要は、トーニンの支配体制は限定的にしか効果範囲を及ぼせないということの証拠である。それを体現した地域がウインである。
〇特色
〇トーニンと同じく陸続きの地域である。規模の異なるいくつもの集落から成り立っている。作中では、ダザ地区、ラム地区、などの名称を設定している。
〇基本的に各地区の独立自治が行われていて、多くの地区には検問を置いている。ただし、警察組織が成立しづらく、半ば暴力団のような”有力家系”が幅を利かせている。スラム化している地区も多い。
〇ウイン全体の資金繰りは独立自治だけではやっていけない。それらをどう賄っているかというと、市国の外郭よりの管理員とだとか、A国やB国の国境沿いの者とだとか、そういった者たちとズブズブになることである。こういったやり取りは当然各地区のパワーバランスを不平等に変動させるため、これがまた紛争や各地区の政治的軋轢を生む温床となっている。
〇ただし、お国柄としてはそう血気盛んというほどでもない。トーニン建国からはみだされた者たちではあるが、はみ出し者としての同族感情がウインを生きる根本のモチベーションだからだ。こちらもこちらで、トーニンとは似て非なる”つながり主義”がある。隣人づきあいを重んじるという気質だ。しかして暴力と争い、略奪は日常にある風景だから、他地区へ逃亡というものへの理解もある。去る者追わず、来るもの拒まずという気概も持ち合わせている。
〇利害的ではない暴力の行使も意外に望まれていない。それもそのはず、暴力によって命が奪われると人手が足りなくなるからだ。暴力が新たな火種となって自組織の壊滅につながりかねないからだ。
〇が、若い世代にとってはそんなことは知ったこっちゃである。これから生きていくにつれ、経験的に知っていくにせよ、なんでこんな日常なんだ、というのは思い知らされる機会がたびたびある。それは、トーニン市国という存在がすぐ、ま隣りにあるからだ。教育が正常に機能していないにせよ、世界を知るきっかけの書籍なんかにふれる機会があるからだ。
〇抗争における銃火器も基本的にモンキーモデルである(兵器知識は疎いのでこうざっくりとしか記述できないが)。大量破壊兵器なんかは忌避される、そもそも作る技術が育っていない、火器の横流しも行われるとすればトーニンやA・B国からで、それらの国は支配体制を揺るがしたくないから当然いいモノを与えようなんて思わない。解析再生産を行おうとしてもそもそもが粗悪品だったりで、兵器開発もままならない。というワケで、やはり兵器体系もガタガタ。...なのだけど、そんな地区間のパワーバランスを壊すことになるのが、リーアムなる主人公。彼は独自にお手製の爆弾を開発することになるし、芸術家肌が災いしてその性能をブラッシュアップさせていくし、自身も増長していく。
<メインの登場人物>
〇リーアム・ルイス(→リーアム・エレイン、→リーアム・トーチ)
・Liyam Luice→Liyam Torch
・男性/20歳→22歳→23歳/178cm
ウインの一地区<ダザ区>出身。幼少期に両親不在となり行くあてがなくなった所を、<ダザ区>内の有力家系<ルイス家>の頭目夫婦に拾われ、養子となった。
空想にふけることや、構造体の内臓物について考えることが好き。本人の気質は、ルイス家に必要とされる素養とは相反するものだったためか家内では白い目で見られつつ教育を受けていた。
上述したような特質をもつせいか、会話のテンポはやや独特であり、本人のモチベーションによって口数が多くも少なくもなる。
内省的志向が強いせいか、他者との会話によるコミュニケーションを上手く図れないことが自身のコンプレックスなのだが、確かな自覚には至っていない。
諸々の場面において潜在的にフラストレーションを溜め込みがちで、蓄積された抑圧の開放先をその時々に、決定的に『ある物』にゆだねようとする。
読書はするが、図解本や設計書等の専門性のやや強い書物を読むことがほとんど。ユリエからは「リア」という愛称で呼ばれる。
作中冒頭に勘当されるため、以降はエレインという偽の姓を用いる。ユリエとの行動後は彼女の提案によりセカンドネームを「トーチ」と名乗り、二人で姓を同じくする。
〇ユリエ・ミソノ(→ユリエ・トーチ)
・女性/ 4歳→6歳→7歳(現実換算でおよそ8歳→12~13歳→14~15歳)/130cm→156cm→160cm
・Yullie Misono→Yullie Torch
もとは市国内ミソノ家の一人娘。中流やや上の家庭の子。リーアムの1stテロの現場に居合わせ、官邸爆破時にその場で両親と生き別れる。リーアムの個人的感情からくる行動によってその場を生き延びる。テロ時のショックで自らの強い意思でそれまでのエピソード記憶に蓋をしている。その後両親不在による不和の感情はリーアムとの生活によって埋め合わせがなされ、彼を肉親と思い込むことによって克服する。リーアムに救出(さらわれる?)されてからは彼とウインにて共生生活を送る。リーアムからは「ユリ」の愛称で呼ばれている。
性格は素直でものわかりが良い(もっともこれはトーニン市国民の共通する特徴)。瞬間的な頭の回転も速く体を動かすようなリアルタイムのシチュエーションにおける機転を利かせるのも得意。運動と読書が好き。本の傾向はリーアムとは違い純文学や教養小説、科学誌等多岐にわたるジャンルを好む。
自分の世界観の全てをリーアムに委ねており、根本の価値観は彼の望む世界=自分の望む世界というゆるぎない信念を抱いている。書物には多く触れるが、すべてこの価値観に都合のいいような解釈をしてインプットしてしまう。これは自身の喪失体験と以降の生活のストレスの全てを埋め合わせるための情動である。
排他精神と運動能力が同調し、また倫理的価値観もリーアムによって崩壊させられているため、彼の命令で人命を奪うことをも厭わない。自らのアイデンティティを侵したくないが為に、そういった行動も快楽的行為(単純に、運動という意味での戦闘行動、また、リーアムの為になることをしているという奉仕精神)という解釈に変えている。コンバットナイフによる近接戦闘術が得意。
〇ユウキ・ユン(→ユウキ・ミソノ)
・男性/4歳→6歳→7歳(現実換算でおよそ8歳→12~13歳→14~15歳)/128cm→167cm→175cm
・漢字表記:尹 勇気(Yoon Yuki)
トーニン市国民。中流やや上の家庭・ユン家に生まれるが、両親はリーアムの1stテロ時に死亡。孤児となるもミソノ家によって養子として迎えられる。
義理の両親に大事に育てられたこともあり、一時はテロのショックからふさぎ込んでいた時期はあったものの、思慮深く素直で活発な本来の性格を取り戻す。トーニン市国の人々は元来正義感を持っているが、とりわけユウキのそれは人一倍強い。体を動かすことをモットーとしており、取り立てて武芸の習得に躍起になっていて、これを趣味だとも自称している。
生真面目ながら一本気な性格というほどでもなく、表情も豊かな為か男女ともに打ち解けやすく友人は多い。喜怒哀楽の感情がすぐに顔に出てしまう。
〇エミール・コット
・男性/25歳→27歳/183cm
<ダザ区>有力家系の<コット家>現当主。いわゆる若頭的ポジションである。幼少期はコット家の直系の血筋の者ではなかったが、前当主の急な不在によってなし崩し的にコット家を代表する存在となる。コット家へは男娼として引き入れられた。痩せ気味のすらりとしたプロポーションの持ち主で、長く伸びた桔梗色の髪が特徴的な、中性的容貌の持ち主。
過去の陰惨な経験から、同性へは性的欲求への嫌悪感を抱いている。かといって自身が完全な異性愛者というわけでもなく、本質的に自身と同質性の高い、すべてを労ってくれる存在を渇望している。そのような存在となってくれるのであれば、容姿や年齢、性別は問わないと感じている。このような気質から、リーアムには彼の能力に目をかける以上にその人となりに深く興味と共感を抱いており、彼に必要以上に寛大に、何かと執着するように接する。
また、女性をはじめとする、身なりや立ち振る舞いへの拘りを感じる人物については、その外面的な要素、精神性への嫉妬と排他欲求を衝動的に抱く。
若頭ながらその手腕は確かでもあり、失態を働く人間には容赦がない。その一方で、有能な人物や自身へ理解を示す者に対しては必要以上の信頼を寄せる。ただ、少しでも自身の抱く期待にそぐわないと一気に関心をなくすといったアンバランスさも備えている。
〇ダービット・ダルトン
・男性/50歳→52歳/180cm
<ラム区>有力家系<ダルトン家>現当主。身長に相応しいがっちりとした体躯の持ち主。独特だがよく通る、渋みのある声で話す。会話の度に笑うことが多く、明朗快活を自称する。ラム区には青年期から暮らしてきたようで、堅実に実績を上げ現在の地位を築きあげてきた。妻と一人の息子がいるが、本人の考えもあり、妻子は別の地区で暮らしている。その為当主を継ぐのは組織内で目をかけた優秀な人物にする、と決めている。
左手の小指の第二関節以降が欠けているが、普段はそれを隠すように手袋をはめているため一部の者にしか気づかれていない。
側近の者でもダービットの懐の底が知れないようで、本人のいない所でつかみどころのない人物とよく評される。
妻子とは手紙を通じてマメにコミュニケーションを行っている。本人曰く家族関係は良好とのこと。
職権濫用といっても過言でないくらいの大立ち回りをラム区で行うが、盤石な統治体制を築き上げているのと、それによって生活基盤の安定がもたらされている為かあまり謀反などの大事にはならない。
組織経営に関してのアンテナが強く、リーアムにも目をつけ自らの傘下に引き入れようとする。
以下、おおまかな話の流れ
<序章 リーアム20歳編>
※以下、基本的にリーアムを「リア」、ユリエを「ユリ」表記とする。
① ダザ地区編 Ⅰ
序盤。ウインのダザ地区にて。リアの直近の過去の追想から始まる。父母に勘当される場面である。「お前の居場所はもうここにはない」、「これからは〇〇が継ぐ」、といった叱咤の言葉だ。
思い出しながら、過去にお世話になり、また自身もルイス家と関係があったというオーウェンおじさんにかくまってもらう。しばらくの間事情を説明し、オーウェン宅に世話になるリア。そして、居候を条件に、オーウェンからはあるお願いごとをされた。
爆弾を用いて、あることに手伝ってほしいと。リアはそれに従う。
あること。要は、強盗、場合によっては強盗殺人であった。
オーウェンは流れ着いてここにたどり着いた者であり、各地域の有力家系を頼っては捨てられ、を繰り返す人間だ。たまたまダザで長く暮らせていたが、現在オーウェンが身を置く<コット家>、以前身を置いていた<ルイス家>と板挟みの状況となっていた。コット家からはその素性を察されつつあり、組織内でも汚れ仕事の部類の強盗をほぼ単身で行えという無茶ぶりをされる次第であった。だがオーウェンはこの隙をついて、盗んだカネを組織の為でなく自身の為に持ち逃げすれば逃げおおせると踏み、ましてやリーアムの爆弾の技術もあればなおさらと考えていた。うまくいかなければ、リーアムには爆弾ごと自滅してもらえればいいと。
決行の夜。オーウェンに従い、小型爆弾を以って家屋の一部を破壊するリア。その最中、オーウェンの属するコット家の部下連中がやって来る。オーウェンを監視し、持ち逃げされないようにすぐさま盗んだ物の引き渡しを要求するためだ。しかしプラン以上にハデな手際のオーウェンをみて追及するコット家部下一味。オーウェンは言う。「俺じゃない、奴がやった、奴の身柄なら差し出すから」。思いもよらぬ自身の扱いに戸惑うリア。その時、リアは思い出す。
”僕は、実家を爆破しちゃったから、家を追い出されたんだ。”
ハッとなったリアは、オーウェンへ予備の爆弾を投げつける。キレイに吹き飛ぶオーウェンの頭。
唐突すぎる事態に騒然となり、身動きをとれない部下一味。そんな最中、リアはオーウェンが盗むはずだった金品を持ち、バイクで逃げだす。
一味の一人は彼を追おうとするが、今度そんなことをするとお前らを皆殺しにする、とリーアムは脅し、その場を凌ぐ。こうしてリーアムはダザ地区を後にする。
② ラム地区編
ダザ地区にて。コット家の当主エミールとその部下・ヨシミ達の会話が織りなされる。エミールの采配により、ヨシミはリーアムの捜索へと駆り出される。
放浪の末、リーアムはラム地区へたどり着く。検問にて自らの事情を問い詰められるリアだったが、ラム地区内の有力者・ダービット・ダルトンの機転のおかげで仮の居住を許可される。リアの監視員として、ユカリなる女性が彼をたびたび世話することとなる。年がひとつ下の女性、ユカリ。リアの女性経験のなさをからかう彼女に腹を立てるリアだったが、以降の会話で少しずつ打ち解けるようになり、互いに心の距離を近づける。
ユカリにはパートナーの男・ウィルがいた。ウィルとユカリは外部から越してきたのだ。ユカリも複雑な事情を抱える人間ではあったが、ルックスや会話能力を鑑みてオジサマから仕事をあてがわれることで特別に居住を許可されていた。
リアは爆弾の製造や設計書の提供を条件に限定的な居住許可が出されていた。彼はこのままここに住んでいてもいいかと思う。
ユカリが監視にくるある日のこと。彼女から、自身は進入許可のない地域にまで案内される。そこはある廃工場だったのだが...リアは、ここで唐突な事態に巻き込まれる。
見知らぬ一味から、突如その身を拘束される。
爆弾とその設計図を渡すか、もしくは、自分たちに下るか。
リアはユカリに、どういう事なのかを問う。謝りながら、一人の男(ウィル)のもとへと駆け寄る。
リーアムは、そんな状況をみて、自分の思慕のくだらなさを実感する。
僕は、こんな人を好きになり始めていたのか。
僕は、こんな場所に住もうと思ったのか。
僕は、こんな世界をいいと思っていたのか。
それがトリガーとなって、一味たちを出し抜く。身動きがとれるようになると、彼はウィルを爆殺する。それを見届けた後、続けざまにユカリを殺す。
パニック化した廃工場内にて逃亡する一団。リーアムは破壊した廃工場を後にし立ち尽くす。
そこへコット家のヨシミが迎えに来る。
自暴自棄にもなっているリーアムは、彼の言動に従い、ついていく。
③ ダザ地区編 Ⅱ
・エミール(+ヨシミ)の動向→エミールとリアのカラミ
・ダービットの動向
・ルイス家の動向
・ユン家(ユウキの実の両親)とリーアムの邂逅、ユウキ父とリアの意気投合からのリーアムの嫉妬と絶望←主題
<1stテロ>
リアは、着々とコット家の中で中心人物として立場をあげていた。が、周囲からはよく思われていなかった。しかし当主のエミールは彼に理解を示す。
この2年間で、リアとエミールの間に奇妙な連帯感が育まれていた。が、リアの本心にあるものは、エミールをも本質的には自分の世界の敵だという価値観であり、心を開こうとはしない。
ユン家(ユウキの実の両親)も参加する政治レセプション・パーティに合わせて、テロの一団が乗り込んで破壊活動をする計画が建てられる。ユン家もパーティに参加することを知ったリアはこの活動への参加を決めていた。そんなリアの魂胆を知ったエミールはリアを止めに入る。「もうキミ一人が自由に動けるコット家じゃないんだ」、「キミがいなくなったら、僕は...」と。が、リアは彼の制止をものともしない。邪魔するのなら、あなたも殺す、というようなニュアンスで冷たく鋭い視線と言葉をエミールに向けると、彼は引き下がり引き留めることをあきらめる。エミールはこのとき、自分と違う人間であるということを痛感し、とてつもない孤独感と喪失感を得るが、反面リーアムは、エミールへ鬱陶しいと思うと同時に、明確な自覚はせずとも、殺意を募らせるだけなのだった。
かくして、リアはテロを決行する。
(ユン夫妻がトーニンの政治家関係の仕事をしている。そのパーティで、ユン一家とその息子ユウキも出席していた。)
集団によるテロ。瞬く間にパーティ会場は地獄へと変化する。
自分自身の手で、ユン夫妻を葬るリア。そのとき、心からの快楽と邪悪を一身に味わう。
燃えるパーティ会場。崩れ落ちる邸宅。
その場にたたずむリアを見つめる一人の幼い少女がいた。ユリエであった。
ユリの頭上に燃え落ちる一枚の天井板。刹那、衝動的にリアは彼女を助ける。
そんな最中、都市部の治安即応部隊が鎮圧にかけつける。
リアのテロ仲間達は次々と取り押さえられる。
燃える邸宅と銃火の中、リアはとっさにユリを連れ、一目散にその場から逃げ出す。
→要テロの機運が高まる過程・組織される過程の描写 もしくは記述
★リーアムがユリエを救出した理由
ユウキ父の話から、リアは、性別は知らないものの、ユウキ父に子供がいることを聞かされた。そして、このことが嫉妬の大きなトリガーにもなったが、いざ実際のテロの時、その場に生き残りの子供が立っているのを見て、彼はこの子(ユリエ)がユン夫妻の子に違いないと確信する(実際は違うけど)。夫妻だけでなく、子供まで殺すのか?というほんの少しの葛藤。そして、葛藤のタイムリミットが、落着する天井板だ。彼の答え。子供までは殺せなかった。どころか、救出した。これが、リーアムに残った人間的な情緒の名残だ。が、サイコパスキラーが気まぐれで人助けをしたつもりになっていい気になってるんじゃねえ(つまり、”憎んだ人の子供までは殺せなかった”というリーアムのロマンスの神の視点による否定)!という意味合いで、リーアムが”ユン夫妻の”子供を助けたと勘違いさせた。実際は赤の他人の子である。
そしてリーアムは、それからユリエと接していくうちに、ユリエという少女のユン夫妻とのつながりを一切感じさせない人となりへの違和感や、自分はいったい、何者と共にいるのだろうというおぞましさを感じながら共生していくことになる。
<トーニンにて:ユウキ編>時系列は1stテロ直後からの2年間
この章は基本的にユウキ視点。1stテロ・爆破時のユウキ回想。彼がトイレへと席を外し、父母のもとへ駆け寄るその瞬間の出来事だった。突如として轟音が鳴り響く。衝撃波によって地面にその身を叩きつけられる。ひどい痛みとともに、何が起きたのか困惑する。砂埃と、脳震盪によって薄れる意識の中、かすんだ視界の先に大人らしき人物と子供らしきふたつの人影*1を捉えるもそこで一度倒れこむ。その後、同じく現場に居合わせ、九死に一生を得たミソノ夫妻に発見され保護される。
後日。ミソノ夫妻は深く嘆き悲しむ。自分たちの娘が遺体も見つからない状況で亡くなったらしいこと、自分たちが助けた子供・ユウキも両親を亡くしたらしいこと。共通する悲しみを味わった自分たちこそ、隣にいるべきだとしてミソノ夫妻は各親戚の了解を経た後、正式にユウキを養子として迎え入れる。
復学したユウキは、家族的事情もあって消沈気味だったものの、徐々に本調子を取り戻す。そんな折に、学校からクラスごとの舞台劇発表会(学芸会)の催しが企画される。ユウキのクラスはライオンキング。隣のクラスでは、ギリシャ神話の一節・オイディプスの話を発表することに。ユウキは主人公シンバ役。
学芸会の当日。学校の体育館にて開園となった。ライオンキングを無事終幕させ、見物していた両親も含めて、多くの者から称賛の拍手を得るユウキ。しかし、次のオイディプスの話にて異変は起こる。
オイディプス役が老人を打ち殺そうとするシーンにて、突如ユウキは舞台に乱入。ユウキは叫ぶ。「お前!!弱いひとをやるのか!!家族だぞ!!やるのか!!ダメなんだよ!!ダメだ!!そんなの!!ふざけるな!!」強い言葉を放ちながらオイディプス役に馬乗りになり、一方的に殴り掛かる。舞台は騒然となるが、直ちに周囲の大人がそれを止めにかかる。
静まり返る体育館。舞台上のクラスメイトは黙ったまま固まっていたが、一人が舞台の真ん中に進み、マイクをふるえながらも大きめの声で言い放つ。「ミソノ君は...ミソノ君は、あんなことしたけど、まちがってないと思います。〇〇君(オイディプス役)は、本当はわるいことをしていました。✖✖君を、いじめていたからです。ぼく、それをみていたけど、怖くて止められみ、ませんでした(声が震えているためカミカミ)。でも...でも、ミソノ君はやってくれました。〇〇君も、分かってくれると、思います。ミソノ君が殴ったのは、まちがってません」話の後半に、いじめられていたとされる当の本人の✖✖がこの生徒の隣に近づく。✖✖も近づいて叫ぶ。「まちがってません!」
少しの静寂の後、どこからか聞こえる拍手の音。連鎖的に、その音は大きくなっていく。やがて館内全体に、大きくそれは鳴り響いた。
ユウキはいじめの事情を知らない。〇〇君を殴ったのは、父殺しを思わせる場面に強く反応したからである。それが、奇しくも、ユウキが懲悪してくれたと、周囲には解釈されたのだった。
時は流れ、卒業シーズン。テロという脅威がつぶさになると、市国では対テロ特化組織の新設を決定。通称自警団。ユウキはこの第一期生に応募し、見事内定を勝ち取っていた。来る四月、不安と期待が入り混じった顔で息子を送り出す両親。希望と意欲に満ちた顔で、「父さん母さんを邪魔するやつなんて、俺がやっつけてやるって!強くなるから!行ってきます!」と残し、家を発つユウキ...という一幕にてユウキ編終了。
(以下、どこに入れるか・付け足すかは決まっていないがぶっこみたいシーン↓)
・ラストのユウキの行動を皮肉る要素を伏線として入れる(「仇討ちは罪である」とユウキが説かれる、等)
・ユウキがクスリを摂取する機会が、妙に多くなってくる(ユウキが異常性を帯びてくることの表現)
<2年後・リーアム22~23歳編 リーアムとユリエ>
抽象的な場面から始まる。視界一面に、真上から垂れ幕のように流れ下っていく血の赤。画面を覆うのもまた、多くの人の命の輪郭が潰える瞬間。液体が、ぴゅっと吹き出る音。ぴとり、ぴとり、と硬質の地面の上に滴る音。ぴちゃり、と水面に雫が落ち、落着の質感が変わる音。それまで動力を得ていた肉体が、形なき従者を失くして地面へとふらりと叩きつけられるときの、鈍くかわいたような音。こと切れる瞬間の息づかい。まるで五感の全てを、際限ないくらいの死の連続が覆いかぶさって来るようだ。...死。死。死。
肉塊。臓物。酸素含有量とヘモグロビンの濃度によって、彩度も、質感も異なる赤の液体。断面から突き出る骨。その不揃いな突起。
視界は赤で覆われる。中には、先の光景で織りなされた死の数々によって、人というものを形づくっていた要素たちの全てが詰まっていて、ごった煮になっていた。
その赤の中から、ぬっと一対の腕が出てくる。両の手を大きく開き、視界を覆ったその瞬間__視界が真っ黒になる。
「おはよう。リア」
高く通る声。ユリエの声だ。同時に、視界が開けてくる。朝だ。
「あ...おはよう。ユリ」
「ぜんぜん起きないし。寝落ちでしょ?退屈だったよ?」
リアは椅子に座ったまま寝ていたのだ。設計図を書いている途中で、座したまま眠っていたらしい。
少し顔を膨らませるユリ。リア、ユリの片手を自分の手で引いて、顔に近づける。
すん、すんと、ユリの手の匂いをかぐリア。
「におうかな...」
眉をしかめるユリ。
「なんもしない。いや...僕もにおいがついちまってるのか?」
「えぇー」
リア、すっとユリの手をはらうと、立ち上がって動き始める。ついていくユリエ。
途中、歩きながらユリはリアの手に顔を近づけにおいをかぐ。「におわないー」ユリが大きくつぶやき、リアはそうだね、と相槌する。
リアは玄関の扉を開ける。
◇
リア・ユリの2年の間の生活・1(幼少期育てる・リア戸惑う編)
2年の間の生活・2(ものわかりがよすぎるユリエ編)
2年の間の生活・3(ルイス家とのやりとり編)
2年の間の生活・4(殺しに迎合するユリエ編)→序盤のグロテスクな心象風景につながるように
◇
・ルイス家撲滅(親殺し)のエピソード
・コット家撲滅のエピソード
→エミールのユリへの嫉妬
→エミールの配下がユリを殺そうとする これがきっかけで決裂
以下はその一幕↓
リアとエミール、最後の会話を交わす。
「わかった、もう、君のなかには、僕はいないんだね?」
「いいよ、君に...君に殺されるんなら、いいよ」
「リーアム...リーアム・コット...僕...おれを、殺してくれ...」首筋にナイフをあてがったまま動けないリア。リアが小声でつぶやく。「僕は...」「僕は....!!」
「り...リーアムゥ‼はやく!!はやく!!殺してくれぇ!!」自分がこと切れるのがいつともわからぬ状況に気が動転し、エミールが血走った目で叫ぶ。
「はやく!!」エミール絶叫。自分の首にあてがわれたリアの腕を、エミールは汗まみれになった両手で、強い力で震えながらつかむ。
「アアアアアアアッ」リアも叫ぶ。エミールの両手を振り払い、いよいよエミールの喉仏を突き刺そうかというその時。
リアの声が響くのと同時に、部屋奥の暗闇から瞬時に駆けつけるユリエ。リアをエミールから一瞬で突き放すとともに、機械的な動作でエミールの喉元を何度もナイフで掻き切る。エミール、声も上げずに逝く。止めとばかりに、即座に彼の心臓に近いであろう胸部をもするりと何度も刺突する。この一連の動作は、まるで一瞬の出来事だった。直後に、ナイフできれいにエミールの首から上を切り取り始めるユリ。
「は、は、は...」
リア、思わず座り込みその光景を歪みきった顔で眺める。乾いた笑い声にもならない声が漏れた。
ぱつん、と頭部が切り取られる。ユリはリーアムの長い髪をもう片方の腕でつかみ上げていた。髪が長かったせいかエミールの頭は揺れながらくるりと回転する。そして、光を失い乾いたエミールの瞳とリアの視線が合う。エミール、口から泡と血を吹きながら、パク、パクと、もはや声か音かもわからない何かをひねり出す。目の端が光の反射によって輝く。涙だ。
ユリがリアの方を向く。彼の表情がいつもの死体を目にする表情じゃないと思い、心配に思った彼女は、両手に持ったエミールの頭とナイフを地面に置き捨てるとリアへとすぐさま駆け寄り、真っ赤な体と腕で、やさしく彼を抱きしめる。そのままユリは、リアを見つめて言う。
「リア、だいじょうぶ?」「いつもと、ちょっと違うよ...」
リアは返事をしない。
「ハア、ハア...」息の荒いリア。
「もう、大丈夫だよ。敵は、外のも、今のも、もうやったから」「リア、大丈夫だよ、おちついて...」いたわるユリ。
「ああ...ああ、よく...よく、やってくれた、ユリ...大成功だよ...ユリのおかげだ」
少しずつ呼吸のリズムを取り戻し、ひねり出すように声を出すリア。言いながら、彼もユリを抱きしめ、その髪をなでるのだった。
「ふふ...いひひっ」
リアの表情と声色が和らいだことと、自分を労ってくれたことに喜びを感じたユリは口角が緩み切って、思わず笑みを彼に返す。リアは、ユリに微笑んでいたかどうか。
向かい合い、抱き合う二人。その空間には、血と臓物が織りなす独特のにおいと緋色がたえず広がっていた。そして、もうそんな風景は、二人にとってはよく知れたものであった。
後日。
朝陽の上る時間、自室で荷造りをする二人。作業をしながら、リアは回想する。
__ユリが、エミールを殺してからしばらくして。
ことを終えたリアとユリの下に駆け付けるヨシミ。
「あれ...これ...」息を乱し、肩の力を落とし、へたり込む。
ヨシミを眺める二人。
「あぁ...あぁ...」か細い声とともに、無造作に転がっているエミールの首へとそろそろと近づく。ヨシミ、震える手でエミールの頭を抱える。荒い呼吸で震える指先でエミールの開いたままの瞼を閉じる。そっとエミールの頭を置く。
「お前...お前ら...」ヨシミは息を荒くして続ける。
「もう...行け!!どっか行け!!出てけ!!おれ、達の前に、二度と姿を現すな!!会ったら、次会ったら、死んでも殺す!!」
リアとユリは無言のままだ。
「殺すのか!?オイ!?殺すんならやれよ!?アニさん*2みたいに、やってみろよ!!」
ヨシミ、そのままの威勢で、怒鳴り声で二人に叫んで続ける。
二人は続ける言葉に耳を傾けない。ユリがリアに小さな声できく。ヨシミにはとうてい聞こえないだろう。
「リア、この人もやるの?」
「...もう、いいよ。言う通りにしよう」
同じくらいの声量で返事をした後、リアがユリの手を引いてヨシミに近づく。その動作が急に思えたのか、ヨシミはびくりと一瞬震える。直後に叫び声が止む。
一瞬の静寂の後、リアが口を開く。
「ヨシミさんに従います。僕らは、ダザを出ていきます」
それだけ告げると、二人は広間を出る。
後ろからは聞こえる。ヨシミの絶叫のなかから、バケモン、アクマ、そういった言葉が聞き取れた。
__回想終了。
「リア、あの人はやらなくてよかったの?」
「どうでもよかったから。いてもいなくても、変わらない人だよ」
「そっか。わかった」「...これからは、どこ行くの?」
「もう少し、静かな場所にいよう」
「うん。静かなのも、いいね」
リアは行き先を明示しない。荷造りを終えると、二人はタンデムバイクでダザを発つ。
行く当てのなくなった二人は再び放浪生活を送ることとなる。
<2ndテロ~終局>
隠居生活を送る二人。
ここが一番穏やかな二人の生活の描写がある
時折耳にするテロの噂。が、時流の変化や、大局の摂理ともいうべきか、作戦失敗に終わったり、組織解体に追い込まれたりするという有様だ。いら立ちを募らせるリア。
そんな折、リーアムを知るものが声をかけに来る。
心が動くリア。悶々とする彼に、ユリはとびきりの笑顔で言う。
「大丈夫だよ、どんな時でも、やれることはあるよ。」
それをきっかけに、リアはテロを決心する。自身が直接都市部へと赴きテロを起こすことを企てた。
ユリは、リアの計画に賛同すると、迷うことなく自身もリアと一緒に都市へと潜入することを決める。
市国を象徴し、自身のトーニン市国のへ憎しみの象徴ともいえるスマートタワーの完全破壊が、彼の目標となった。そして、場所と日時、確実に遂行するまでの手立てといった手段だけは怠りなく、行った。
テロ決行の日。
やることは、自爆テロであった。
爆発の直前、リアはユリを爆風の外へと強く引き離す。
政治家達もろとも吹っ飛ぶリア。
生き延びるユリ。その後、作戦の手立てに従って逃亡を始めるユリ。
走る最中、ユリはリアから離れる自分をイヤだと思う。その感情をなくすためクスリを取り出すも、投げ捨ててユリは再びリアの元へと向かう。
爆発の跡地。ユリはリアを見つける。当然五体満足とはいかず、しかし奇跡的にまだ息はある。虫の息だ。
そんなリアを抱きかかえるユリ。二人は今この時と、それまでの時の幸せを語らい合う。
リアの視界には、ユリのくしゃくしゃになった顔と、そびえたつスマートタワーがあった。最後の最後まで、彼はその憎しみの象徴を破壊しきることができなかった。
リアはユリの腰のポケットに手を伸ばす。ナイフが入ったポケットだ。
彼の魂胆を理解するユリ。二人の顔が近づく。垂れ下がったユリの髪がカーテンになり、二人が口づけをしたかどうか。
そして、ユリはリアの心臓を突...かんとするその時、燃える天井板が落着し、二人を叩き潰す。
即死である。大きな衝撃音と、一瞬の静寂の後、再び業火とサイレン音、さまざまな声色が飛び交い始める。
・↑の行間のどこかにユウキ視点のトーニンパートを少し入れる。ウインにて実際にテロの計画が確からしい風潮であること、現場の即応予備部隊としてユウキも駆り出されることを知らされる。
意欲的に訓練に取り組むユウキ。ここでのユウキは、作中で一番輝かしい表情をみせる。
ラスト。現場の中心へと駆け付ける自警団。その中にはユウキの姿も。そしてその場の捜索や調査を行い始めるが...彼は瓦礫の下に埋められ、そこからはみ出た足を見る。ほぼノーリアクションで、そこへと近づく。その瓦礫を取り払うと現れた、二人の亡骸。リーアムとユリエの、だ。
それを見た瞬間、何かにハッとなったユウキ。彼の頭をフラッシュバックする、ある光景。実の両親、ユン夫妻との楽しかった日々。爆発。そこにうっすら浮かぶ、ふたつの人影__。
『父さん母さんを邪魔するやつなんて、俺がやっつけてやるって!』
装備していたナイフを取り出すと、何度も何度も何度も何度も、二人の動かぬ体を突き刺す。
しね。しね。しね。しね。しね。
機械のように、何度も何度もナイフを突き刺しながら、呪いのようにひたすら呟きつづける。
終わりを告げようとしない青年の呪詛が、燃え上がる火炎と硝煙のにおいに包まれた大広間に、永遠に響き渡るようだった。
...で、終わり。
<エピローグ>
エピローグとして構想していたのが、↓の場面。
時系列は二人の生前として考えてはいるものの、シーンに浮遊感や暗喩的なニュアンスを持たせたかったので、厳密なシチュエーションは決めていない。
何を描きたかったのか?したかったのか?
●自分の変態性を供養したかった。「身体的にも精神性としてもまっさらな段階である女性(というより幼女)」を、自分の手で、所有物であるかのように同居者とすることで、心身の完全服従という状態をさせたかった。さらに、対象者の女性(ユリエ)は本人がその状態を絶対的な正義と思い込んでいるため、当事者同士の間では否定のロジックがなりたたない。”当事者同士”と書いたのは、外部からみれば完全にいびつな関係性なのだが、この二人のロジックは”自分たち(リーアムとユリエ)だけがいる世界が、世界のすべて”というものなので、外部者の見識を受け入れる余地がない。つまり、超排他的に自己(二者)完結しているのだ。...という絶対的な二者の関係で閉じられたことによる究極的な相互依存愛を描きたかった。
●社会的な善悪論はともかく、能動的な人間を描きたかった。生きていればそうなのだが、受動的に生きて満足いく結果が得られるなんてことは、ゼッッッッッタイにない。なのに、受動的な主人公、しかも男がハッピーエンドになるお話がけっこうある。そのことにムカついていた。巻き込まれてるだけなのにカワイコちゃんと幸せになれるワケねーだろ!なれたとしても問題いっぱいあるわ!と思う人間である。能動的であり、また、起きたことに後悔しない。考えるのは今この瞬間と、成し遂げたいことのこと。それは善悪論がどうという話でなく、人間個人の、絶対的な精神性の善し悪しのお話なので、そこを追求したかった。
●ユウキパートの舞台劇は、劇中劇によって作品のテーマ性を深めるねらいがある。同作でのねらい。ライオンキングからのオイディプス、という順で描いているのも理由がある。シンバ役としてライオンキングのフィナーレを迎え、王となったユウキ。そんな”王”のユウキが、(劇中ではまだ知らないにしろ)父殺しに臨むオイディプスを、介入して、無理やり止めに入る。それは、市国においては忌避される暴力の介入によってだ。ユウキの文字通りのおそろしく暴力的な介入と制止は、自身の過去の体験と同じ事態(両親を失う)を、たとえ架空の物語であったとしても繰り返したくなかった。同時にユウキは、フィクションだとしても強く反応してしまうという感受性の持ち主、また、彼のエディプスコンプレックス的情動が出てしまったことを示唆している。もうすこしヒキの視点でみてみる。観客たちは、オイディプスの劇が、ユウキに中断されたことになろうとも、のちの生徒の告白をうけて感銘を受け拍手している。...という異様な光景も、多様な解釈をしてもらえれば、という意図がある。
●リーアムとユリエの命名の由来。二人とも百合の花(lily)を原型にしたネーミング。
・リーアム・ルイス→姓と名を「L」の音で始める韻を踏ませるネーミング。富野式命名則のパクリ。リーアム(liyam)は上記の通り百合(lily)と主人公ということで主語のような「i am」の音を混ぜた。lily+i am=liyam。
・ユリエ・ミソノ→百合(lily)と、気づいたら僕が愛する某ゲーム原作のヒロインキャラクター(の英語名)の音が描け合わさってユリエという名前になってしまった.....................。キモイ。それらが合わさってyullie。姓のミソノは日本人っぽい苗字ということで。ワールドワイドで多人種的命名がデフォルトとなった世界...というちょっとガン〇ム的な世界観。
・「トーチ」。これは作中で共生をするにあたってムリヤリ義理の父子となろうとしてつけた姓で、ユリエ命名。その場にあった名も知らぬ花を見つけて、「あれ、たいまつみたいだね。(姓は)トーチというのは?」というような流れで決まる。(たいまつは英語でトーチなので)
「名も知らぬ花」の正体はトリトマ(トーチリリー)。リーアム・ユリエ・トーチ、これらの単語すべてに「百合」を関連させた。リーアムとユリエをつなぐのがトーチという姓。ふたつの百合の花を繋ぐ松明の火...という隠喩。
花言葉の遊びでも、百合はいろんな意味合いがあるため、この二人の関係性をいろんな花言葉になぞらえるのも面白いかな、という意味合いを込めて命名。
●トーニン市国の「クスリによって精神の調整や周囲との絶対調和を図る」という要素は、作品の表現論としてはつたないながらも現代日本の過度な共感主義を皮肉ったもの...というのはあるが、それよりも、ユリエがリーアムを否定するロジックを身につける余地を与えない為だ。これがスラム、ヤク漬けの子供、という典型的な図式でもある。また、最終的にはユリエはクスリをほぼ使用せずともリーアムとの関係性に心底満足するようになる。これは、ユリエの精神が完全に壊れたことの表現(クスリがいらずとも心が落ち着く→リーアムを心酔する歪んだ精神性がデフォルトとして完成されてしまった)というねらいがある。ユリエはリーアムによって助けられ洗脳されたが、己の意思がなかった訳ではない。彼を肯定する、慕うとか愛するといった感情は、いち個人として確実に能動的に芽生えている。また、リーアムの為に過酷な労働や殺りくを働くモチベーションもそれであり、その苦労も、リーアムのためのことを行ったとして快楽へと変えている。なので、間違いなくユリエもゆがんだ存在である。
こんなふたりの存在はあっちゃいけない。やはり月並みだけど、テロは悪であり、こんなことで世界を変える、作るなどという発想は稚拙そのものだ。
だからこそ、二人が最終的な意思の疎通を図る前に、皮肉るかのように、かつて天井板が勢いよく落下して二人を押しつぶす(1stテロ時はリーアムがユリエを救うために回避できた天井板だが、終幕では押しつぶされる、という対比表現。出会いがピークだったというニュアンス)そして、それだけじゃまだバツは甘い、として、狂った因果を体現するために、二人によってゆがまされた存在・ユウキは、錯乱して二人の亡骸を赤一色に染まるまで刺し続ける。
と、カッコつけて言っているが、自己批判です。
「あーなんかぼっちでネグレクトされる感やばくてほんとやだわ、死ねこんな世界!!!だから世界ぶっ壊すボクちゃんきもちいいな~しかもかわいそうでしょ??だけどか弱い女の子も手に入れてその子とラブラブになってさー...って思ってるボクキモ!!!!まじでキモイ!!!そんなの妄想だとしても都合よすぎるわ!!キモイ!!!あーけど...表現してぇな...」
という精神性で描いています(した)。
エピローグに時系列不明のリーアムとユリエの穏やかな会話劇を挿入したのは、終幕がグロテスクな光景で終わるとちょっとなぁ...と思い、花を添える気持ちで描きました。
まあ、二人も二人なりに頑張って生きてはきた、ということで...。
(現状)供養する理由
・絵の方が描きたいから
・(プロットは決まっているものの)書き始めたら話が膨らみまくった→いつお話を終えられるのかわからないから 先の事を考えると物書きに時間を投資することにビビっている節がある...
・しかしてこんなものを残しておく女々しさよ。が、こうしておけばリスタートは向きやすいかなぁ、と...。
更新履歴
・2021年7月16日 23時01分 記事公開
・2021年7月16日 23時15分 <リーアム20歳編>②ラム地区編 一部文章を修正
・2021年7月17日 11時34分 各章のタイトルを時系列に合わせて修正