レールに乗らざるを得なくなったはずレールガン

もがくしょうもないオタクの脳内

『HELLO WORLD』観てきた(ネタバレ)

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買ったものたち。とりあえずこんだけ。

 

ワアアアアおもろい!!!!!!

 

おおざっぱな感想としては、

『オタク男子妄想全開、冴えないっぽい僕が世界を巻き込んでたった一人のカワイイ悲劇の美少女ヒロインを救う壮大な現実冒険譚』

といったところ?

 

が、物語構造としての軸は上記の概要(?)を忠実に守っているので、テクノロジカルな描写、ビジュアル的に小難しそうな所はあれども、それらは自己主張はせず、あくまで舞台装置として、物語上のエッセンスとして登場するに留まっているので、エンタメ作品として明快な楽しさを感じられる。

 

で、『冴えない僕がヒロインを救うために崩壊しゆく世界の中で一踏ん張りする』という物語構造だと、それ自体は単純明快なのだが、それに一捻りが加えられる。

 

それは、主人公の未来の姿・10年後の『カタガキナオミ』の存在だ。

 

彼は脳死状態となったヒロイン・一行瑠璃を救うために過去に遡り、歴史改変のために高校生の主人公・堅書直美に彼女を救う術を教え込む。これが功を奏して、たしかに彼女は救えたのだが、歴史改変にはバグ…というよりエラーの発生が付き物。

その修復のために、改変の発生源たる瑠璃に修正プログラムが実行される…というもの。

『歴史改変の歪みの修復』がビジュアルで示され、「バーチャル世界での修復作業」は、瑠璃に降りかかる困難として描写される。

危機に対し、事情も知らず無力なヒロインを救うのは、やはり主人公たる直美(ナオミ)の出番。

ここが作品の中のバトル描写としての見どころともなるのだ。

作中、直美は未来の『ナオミ』から、イマジネーションを具現化させる力の発動装置こと『グッドデザイン』なるものを授かるのだけど。

面白いのが、SF書好きの『本のムシ』である直美のイマジネーションはやはり、その生活に密着したものであり、危機が迫ったというときに具現化させるそれは、例えば「本を物理武器として使用する」とか、最上級の物質(?)具現化として「自身の再現可能な限りでの領域のブラックホールを展開する」といった、実生活の使用物から、彼の好むSF作品で題材や舞台装置として登場するであろう、その中でも最大級の規模を誇るものを登場させる…といった、実に彼の「らしさ」を反映させたものを具現化し、窮地を脱することとなるのだ。

それもそのはずで、この物質の構造を知らなければ具現化することが出来ないという説明が作中で明かされる。その為に、必死に具現化のため構造の勉強をする主人公の姿が描写される。

  物語構造や能力の使い方に関しても、作品内での整合性はしっかりとれるような作りとなっているので、「突然かつ主人公に都合の良すぎるチート」の発露などは無い。ともすれば、人によっては地味ともとれてしまうかもしれないが、この世の自然科学、そして人間の叡智を以って機器を脱するその様は、にわかながらSF好き、読書をそれなりに好む身分の自分も、「こういうこと、こういう世界なら僕もやれそうだ!!!」とワクワクしたし、没入感があった。

 

 

で、この作中の『危機』のそもそもの原因を作ったのは、10年後の自分こと「カタガキナオミ」。しかし、状況を作ってしまったとはいえ、彼の「瑠璃を救いたい」という想いの為に、文字通り身を粉にしてでも奔走した10年間と、その単純かつ純粋な想いは、紛うことなく真実だった。

作中では、そんな彼の「罪」に対しての罰、「真摯な想いと姿勢」に対する報いをそれぞれ設けている。「報い」の部分に関しては、描写の入れ方が入れ方なので、ちょっと賛否の分かれる所であろう。

 

個人的なことを言うと、普通にそれでも良い。

というか、やはり作中真摯な姿勢を見せた人物に対しては、何らかの労いがあっていいと思えるからだ。これはもう、僕個人の価値観でしかないのだけど。

また、作中の理屈としても、『新世界の開闢』が示されているので、例えば並行宇宙論のように、別世界で幸せなカタガキナオミがいたとしても、僕は全く許せるのだ。理屈としても、正直否定するには困難な話だと思っている。

 

面白いのが、先の『新世界の開闢』が発生した後に、「HELLO WORLD」のタイトルコールと、直美の「一行さん、僕たちの世界はこれからなんです」(うろ覚え)発言、そしてカタガキナオミの目覚め、が描写されるということだ。演出技法として、これからの希望と大団円を示す、とても清々しさをみせるものだと思える。

 

日常描写の登場人物たちの細やかな仕草の描写、会話劇の自然さも、「学校生活でこんなのあった」と思い起こさせるリアリティがあり、中々丁寧。

(物語始まって間も無く、赤信号間近で走ってそれを渡りきる他の生徒に対し、自分も急がなきゃと思うが逡巡し、結局待たざるを得なくなる…等、説明としてでなく、演出として主人公を人となりをみせる部分。また、「決断力」なる啓発本を読み、それに記されたことを実行しようにも、結局行えずであった。それに対して、ヒロインこと瑠璃は、先の直美が「できなかった」ことを全てやってのけてしまう、真反対な性格であるという、コミカルながら人となりをみせる描写。など)

 

 

とにかく、『男は惚れた女にはとことん弱い』を描いた、男ってこんなもん、てのがかなりよくわかる作品だと思います。

けど、これを訴えたことの弊害がひとつ…

それは、ヒロインこと瑠璃ちゃんが、『ボクが救うべき悲劇のヒロイン』の理想像を全て詰め込んだに過ぎないキャラクター像になってしまっているということ!

まあ、カワイイからいいっちゃいいのだけど、キャラの掘り下げとしては、そこだけ「物語構造の中に埋没してしまった」感がちょい否めない…。

というのも、瑠璃ちゃんは先にも書いたように「直美とはまるで真反対な気丈で、ちょっとズレた子」として描かれるのだけど、この性格故にドラマがどう転ぶとか、性格の変化が訪れる…というよりは、

「物語のヒロイン」として、主人公に惹かれ、助けられるべき存在として描くに終始しているのだ。

まあでも、そんなことは許せる範疇で、やはりキャラデザも可愛いのだからしょうがない(やっぱりオタク故である…)。

 

そんな訳で再三訴えるのだが、そんなことよりも、「僕が彼女を救うんだ!!!」というのを克明に描いたこの作品は、清々しさとちょっぴりの寂しさも伴い、ジャパニメーション映画としてはとても健全で、正しくエンタメを貫く、SF好きの知的好奇心をも刺激する、楽しい作品だと思える!!!!!!!