切れ味のするどいナイフのような作品なのかもしれない。
正直なところ、これといった感想という感想がない。
「つらい」「かなしい」「心象風景のおぞましい様子が特徴的な演出」
という以上の感想を持ちえなかったし、プレイ前の事前情報とプレイ後の感想がほぼズレることはなかった。
おそらく、対象年齢というものがあるのだろう。
僕はもう、ターゲットに入っていなかったのだと思う。
インターネットのアングラカルチャー的な魅力にふれて、知ることがとにかく楽しい時期なら、この作品を「味わえる」のではないだろうかと思った。
しかし、一度社会を経験して、成人した者なんかにとっては、その人生の中で、いじめやネグレクト、容姿差別といった諸々の社会問題にも通ずる要素についての一定の理解や距離感をおくことは、体感的にも覚える気がする。
だから。そういう話を、知っているから。
この作品のプレイした感想は、端的に言うと、「ああ、そういうお話ね」で済ませてしまった。
以下、無造作にスクショしたものを雑多に貼り付けていきます。
一応ホラー注意か?
作中唯一の謎解き要素かつ一番苦戦した場面。ポケモン第四世代までのマップのかいりきの謎解きみたいな感じで、画面上の色の違うコンテナ7個を地面がくぼんでいるマスすべてに動かしたらクリアというイベント。
↑の黒字に赤のおっきな文字でヒロインが痛烈な訴えをして終幕。だった気がする。
同作には、やっぱり、正直な所、好意的な感想を持ちえない。
物語の主観性が強すぎるからだ。物語の論理構成が
「主題:ぼくはつらいままです」
「例示1:ぼくのつらい出来事1」
「例示2:ぼくのつらい出来事2」
「例示3:ぼくのつらい出来事3」
「結末:ぼくはつらいままです」
というような内容になっている風に見受けられた。
やりようによっては魅力的なこういう作りだけど、作中の極度に主観の過ぎる自己批判(目がおっきく加工された人形が「私を犯しておいて」「楽しい?」とか投げかけてくる深層意識)も、「自身の不幸の肉付け」の為の用い方に感じてどうもなぁとなった。
が、しかし、正直なところ、
抑圧的な気持ちが心を埋めている状態では、世界のすべてをそういったフィルターを通してみてしまうというのは痛感するところだ
正味黒歴史のような記事だが、
僕がかつて精神的疲弊を患っていたときの記事をのせる
こういうのを、何らかの形でアウトプットすることによって、セルフヒーリングする効果というのはあると思う。
アウトプットをすることによって、俯瞰する。
俯瞰することによって、自己嘲笑でもいい、どこかにメタ的な視点が浮かび上がるとか。
そういう精神的プロセスを経ている気がするのに、どこまでも主観性を帯びている鬱夫の恋という作品性には、どうにもつっかかりを感じる...が。
それは制作側の心理状態への言及なので、そんなものは僕に観測し得ず、想像したところでしょうがない。
だから、そもそも論。
そもそもこんな悲劇、未然に防ぎたい世の中がいいと思う。
鬱夫の恋では、主人公・鬱夫君の母はシングルマザー、鬱夫君も容姿に悩み、然もそれが原因なのか実際いじめられている。
・シングルマザー(への社会的視線)
・レイプ
・ルッキズム(と、それを発端とするいじめ)
なんかが同作で示される社会問題要素として垣間見える。
学校という村社会的閉鎖空間に人間関係と生活の全てをコミットさせていることがきっと問題なんだ。で、それが原因で他人に興味を抱きすぎる世界観になっている。