はずレールガン

もがくしょうもないオタクの脳内

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TENET(洋画/2020)

 ネトフリで視聴。たしか、最近ネトフリで配信きたものだと思う。友達がクリストファーノーランを推していて、気になってるならぜったい観たほうがいいといわれてみてみた。

インセプションもそうだがすっげーお話づくりがトリッキーで個人的に難解だった。僕の脳のキャパが足りねぇ。途中気が散って自分の髪にわずかに生えつつある白髪抜きとか始めたりしちまった。なので感想を述べる基準にも立てない。「むずかしい」以上。こんなにわかんねーのほんとひっさびさにぶちあたっちまった。友達に伝えると「難しいかもだけど2回は観て!」言われた。ごめん無理だ。3時間近くありません??映画館でみるなら空間に閉じ込められて強制的に観るモードになるからいいが部屋だとどうあがいてもちゃんと観れる気がしねぇ...という感想を抱いた。

 で、イミフだったので解説記事なんかをググったりしてみた。おおまかな流れをなんとなく把握し、主人公の哀愁につながる内容名なのな というくらいの把握はした。

ダークナイト(洋画/2008)

 これもクリストファーノーランつながりで観てみた。というのと、同作は宇野常寛さんがカルチャー史のお話で度々触れてもしていたり、↑の友達のこともあって、自分の中で諸々つながったので観ておくべきだ、と思い視聴。

 こちらは、めっちゃめちゃ面白かった。そして同作は「人間の倫理(ロジック)を以って目的性のない純粋悪を排除しきれるか?」というテーマを掲げていたと思われる。

 同作のようなテーマを掲げた作品を僕は知っている。虐殺器官や、今年公開された閃光のハサウェイもそうだ。奇しくもどちらも村瀬修功監督が関わり強いね。

 虐殺器官では、真の悪意から発される殺戮はそもそも止めようがない、と作中の黒幕・ジョンポールは解答している。だからこそ、各地で惨たらしい紛争を引き起こす一方で、アメリカをはじめとする先進国民は流通やテクノロジーの恩恵を一身に背負い安心安全な生活を謳歌するというものだ。

 そして閃光のハサウェイ。宇宙移民者と地球の居住権を得た特権階級者の分断の色がより強くなってきた宇宙世紀100年以降という時代に、ハサウェイはマフティーなる組織による官僚暗殺というテロリズムを用いて解決の糸口をつかもうする暴挙に出た。

 どちらも、大衆論理(倫理)の欺瞞を浮かび上がらせた作品ともいえそうだけど、ことを起こした本人は文字通りの暴力の前に圧殺されてしまう。ジョンポールもハサウェイも糾弾された。

 しかしジョーカーは違う。彼を裁くバットマンことブルース・ウェイン自身の倫理観では、ジョーカーを殺せなかった。警察機構に所属するでもない個人自警団的な存在・バットマンは「殺人」という超法規的措置をとれない。となると、暴力の行使は用いても、それを通じて事後的な事態の鎮圧、ひいてはジョーカーのような超越的犯罪者の根底の倫理観をひれ伏せさせるという根本解決がミッションとなる。そしてこのジョーカーは、犯罪に明確な目的をもたない。動機がある犯罪などではなく、犯罪を犯すことそのものが目的、「ゲーム」だとする精神構造だ。このタガが外れた精神構造が完成してしまっているが故に、バットマンの倫理更生的措置とは永久に平行線を辿るという悲劇(といっても良いだろう)が描かれる。

 2001年9月11日、アメリカでは史上最大規模のテロが発生した。同作ではゴッサムシティという架空の舞台に、人間論理では対処しきれないケースのイレギュラーが発生したら...というシミュレーションを描いており、この劇はどう見ても01年のテロのメカニズムとその行為への回答を提示している作品だ。

 ジョーカーという存在。いくら法や人間論理で裁こうとも、行為そのものが目的化した犯罪は、根本的には止めようがない。しかし、そのような存在であっても、人間論理の行使を絶やすことはない(=ジョーカーを殺さない)。いかなる場合においても、人間は人間としての尊厳を保つという(=バットマンの態度)回答を作品では提示した。

 つまり、「テロには屈さない」という明確なアメリカのポーズを描いた作品であると僕は解釈した。テロは純粋悪である。純粋悪と人間性の認識。時代は移り変わるが、どの時代においても普遍的な人間たりえる「ポーズ」がある。それがダークナイトという映画のメッセージだったのだと思う。

LieatⅠ・Ⅱ・Ⅲ(フリーゲーム/2014)

www.freem.ne.jp

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 小説が積読になっていたので、読む前に一度おさらいを兼ねて再プレイしようと思い再度通しでプレイ。僕はフリゲということを知らず優良でSwitch版を購入しています(善良な市民)。Switch版はタイトル画面のエフィーナちゃんがよりディフォルメされた等身で人間年齢にして4歳前後という設定年齢により近しい見た目になっています。そしてローディング画面のアニメーションが追加されたりとちょっとした差異がある。 

  BGMに色づかい、キャラクターデザインなど独自の世界観でこだわっていてとてもすばらしい。叙情的なゲームの雰囲気もストーリーととても合っていて作品の世界に引き込まれる。

 主人公テオとヒロインエフィーナのかけあいもコミカルでとっても楽しく会話劇もステキ。

 作品全体を通してキャラクター全体への愛着を以って描いているというか、他己精神にあふれる人物たちによって織り成す悲劇と救いの作劇がとても心に刺さる。

 3部作できっちり終わっていて、3作目が主人公テオの根幹の「ウソ」にかかわるお話となっている。

 「ウソ」という要素をモチーフにした作品Lieat。人の心の深いところに触れて、暴く。でもそれが、結果的にウソのない人とのやり取りへと通ずる。そんなやさしさあふれる同作の雰囲気が大好き。

nagisaseer.hatenablog.jpi

↑過去記事でスクショ感想やってたな。Ⅱだけだけど。

 ちなみに僕は「Ⅲ」のノーマルエンドがかなり心に刺さっていて、BAD気味の結末ではあるもののエフィのテオに対する本音が垣間見えたり演出も凝っていたりとかなり好き。というかすげー泣けるんだわ、、

 

 

 

 

Lieat 嘘喰いドラゴンと忘却色の歌姫(小説/2015)

  某フリマアプリにて2か月ほど前に購入したきり、積読になっていた。せっかくだから読もうという具合で読了。僕は読むのが遅い人間だがそれでも1日あれば読み切れるようなボリューム(それでも250ページほどある)と、ゲームのようにコミカルなかけあいもあったり、読みやすい文体だったりページデザインにこだわりがあったり、挿絵も多く入れられていたりとサービス精神旺盛なので堪能することができた。

 内容はLieatエピソードゼロといった具合でゲームの第一話へとつながるもの。「青い鳥」を題材とした軽いミステリーが展開される。嘘を暴いていくことによって、作中の登場人物、ミーシャとフィルと青い鳥のそれぞれの美しい他己精神が露になる様子はとても胸にしみる。

 あとは本編でも毎度登場する警騎隊のエピソードもあったりとキャラ小説としてすごく満たされる一冊だった。自分の作品への愛着を感じて好きなんだよなぁ

 みわしいばさんゲームに(BGMに)絵に小説にってなんでもできてえぐいわ。

以下 作中より好きな一文を引用

人って、本当の事を言う時、特に好きなものの事を言う時、わたしの気持ちをふんわりとぐかんでくる。この感覚は、ちょっとだけ好きだ。(p63 エフィーナ視点)

 嘘というのは、自分が吐いているつもりでも、実際には嘘が自分に憑いているのだ。後ろめたい気持ちや罪悪感、後悔、それらを集めて憑いた嘘は、大きなものになっていく。そうして、人というのは完全に嘘に憑かれる。こうなってしまうと、お先真っ暗だ。(p79 アル(テオ)視点)

「幸せって、長くは続かないものなんだよ」 (p143 フィル視点 青い鳥の台詞)

必ずすべての人を幸せにする力なんてのは、この世に存在しないと思う。

 その人にとっての幸せが、他人にとっても必ずしも幸せであるとは限らないのだから、それはきっと当たり前なのだろう。(p148 青い鳥視点)

 俺には、まだ解決できていない事がある。一番初めに、自分の家族に吐いた嘘。この嘘が、今でも俺から剥がれ落ちてくれない。

 俺たちのこの旅は、言い換えればただの逃避だ。俺は、ずっと逃げ続けている。

 きっと、一生背負っていかなくてはいけないものなのだろうと思う。

 許しを請う気も無い。それで良い。(p189 テオ視点)

殺戮の天使 原作&アニメ(フリーゲーム:2015~2016&アニメ:2018)

 これはめっちゃめちゃ面白かった。というか原作の話になるけど...。

脱出探索ホラー的な閉塞感と登場人物たちの掘り下げがうまいこと絡み合って最高だった 会話劇の刺々しさというか、それでいてレイチェルとザックのつながりの在り方はずっと変わらないというか...この表現を使っては負けだと思うが、ふたりの関係性はともかく”エモい”。

 全編通しての登場人物はそう多くないのだけど、そうであるがゆえに掘り下げがしっかりしてあってどのキャラクターも個性が立っている(立ちすぎているくらいだ)。個人的にはキャシーの狂いっぷりが大好きでたまらない。サディズムに傾倒しているかと思いきや今わの際でマゾヒズムもみせるとかいうすんごいいい性格をしている。そしてキャシーのいいところは善悪や倫理観を超越して自分の行う行動に明確な信念を抱いて純粋にそれを楽しんでいるということだ。完成された人格に近しいとも思えるし、これは先に感想を書いたジョーカーに近しい魅力でもある。葛藤のない猟奇的な人物は、自分にとってかなり魅力的に映る。youtuberでも趣味youtuberなんかで魅力的な人物はこのタイプなんじゃなかろうか。ようは自分の世界観を確立している人物。

 で、アニメ版。全編しっかり描くことに注力したろうから16話という1クールちょいの話数にしたことへは意欲を感じるのだけど...アニメ化としては普通というような感想かなぁ、、。ただキャシーやザックのクレイジーな演技をみせる場面の演出や、声優はどれもハマり役だったしそういった演出的な場面はすごくいいと思うのだけど尺のメリハリがどうも弱めに思えた。アニメ化としてはとても丁寧だったと思う。抑揚や表情の変化が少ないレイチェルの微妙なニュアンスもアニメならではの解像度でしっかり描いていたしこれは本当よかった。要はレイチェルの表情作画すごい力入ってた。ただB1にたどりついたときの表情の豹変はやってほしかった...原作の顔アイコンの不敵な笑みと目の赤いハイライト入る演出めっちゃ好きだったんだよなぁ。

 

<視聴途中>ゴジラSP(アニメ/2021)

 第一話の出来がめっちゃいい。「alapu upala」なる謎のインド民謡の発信源を辿るところで二人の天才の邂逅が描かれる。そのたどり着き方への描写というか知的好奇心をくすぐられる過程がすばらしい。円城塔先生ゆえだろうが衒学趣味をちらつかせながらもしっかりとお話展開のキモが押さえられているので気持ちよく観られた。今後もみていきます。