前の記事の話には、続きがある。
その翌日、つまり昨日の出勤日の出来事。
ふと、部長から「早速、説明会に来た子からエントリーがあったぞ」と話を聞いた。
その人物が、僕と同じ大学の彼。
僕の会社は、他と一風変わった新聞販売店だ。
で、月に一度、ミニコミ誌というものを発行している。これを、毎月決まった曜日の朝刊に差し込むのだ。
B3程度の両面印刷、それも白黒という、とても小規模なものではあるが、反響を寄せてくれる読者が一定数いる。
そのミニコミ誌には、僕が何度となくコラムを寄稿した。約600字程度で、主な題材は、社会人生活を始めて感じた様々なことについてである。
なぜいきなり、この「ミニコミ誌」の話をし始めたか。
話を戻すと、例の彼は、これを読んでいたのだそうだ。
つまり、この会社の配達区域の中に、彼の実家があるということだ。
このことに、不思議な縁を感じた。
新聞とは現在、読者の高齢化が著しく進んでいる。
ミニコミ誌の反響がある、といえば聞こえはいいが、反響を寄せる方々の年代も、やはりそのようなものである。
このことについて、僕は少しの諦念を抱いていた。諦念、というのは、
「こんなコラムを書いたって、読むのはジジババばかりだ。寄せる声はどうせ、「ナオ(これを僕の仮名とする)さん頑張れ!我が子のようです」というものだけなんだろうな。形式的なやり取りでつまんねーや」
といった思いである。
しかしながら、実際に若い世代もこれを読んでいてくれた。
このことが、本当に嬉しかった。
そりゃそうだろう。自分の声、主張に耳を傾けて欲しいのはやっぱり、年を近くする者であってほしい。少なくとも僕はそうだ。
そんな想いがあったものだから、このことは本当に報われた気分だった。
コラムを書いて、心の底から、いわゆる「やりがい」的なものを感じたのは、これが初めてであったかもしれない。
それまでは、お年寄りに好かれる立ち振る舞いをするピエロに徹するばかりな気がしていたから…。